2013/07/08

木村秋則さんの講演 於:森・土・海は食のゆりかご 命のゆりかご

先週土曜日に拝聴した木村さんの講演、少し誤記もあると思いますが、書きおこしました。(著作権あると思いますので、ここから印刷して配布とかなさらないでください。あくまで個人的に読んでください)

また、DVDが発売される予定のようです。こちらもご覧ください。



7月6日(土) 東京農大にて:木村秋則氏

今日のこの話、みなさんがよく知っているレオナルド・ダビンチ、この会場にいる人で知らない人はいないのではないかと思います。このレオナルド・ダビンチは名前の意味は誰も知らないのではないかな?レオナルド・ダビンチが生まれた村からルネサンスが始まった。限りなく挑戦するという意味です。だからレオナルド・ダビンチ、ああいう今の機械やほとんどのものの基礎を作ってきたんじゃないかなと思うんです。

そしてガリレオ・ガリレイ。それまでは地球を太陽が回っているそれが正しいといわれ誰もがそれが正しいと思っていた。そんな中で地球が太陽を回っていると主張して、宗教裁判になって毒杯を仰ぐことになったのですが、その時に「地球が太陽を回っている」といったのです。一つの常識、何百年も続いてこれは正しいと言われること、それにも100%が正しいといえないことがあるのではないのかな?と思います。 私の今の仕事はリンゴ作りです。リンゴの栽培についても同じことが言えるんじゃないのかな?お米や野菜にも同じことが言えるんじゃないのかなとそう思うんです。私や中洞さんは山やそれからわりに山間地に果樹が作られております。そして平らなところで野菜作り、お米作りをし、そして最後、海岸では畠山さんのように海の幸を生かした仕事がされているわけです。水は高いところから低いところへ流れていきます。高いところで水が汚れれば海の水が汚れるんです。ですから高いところの人たちもきれいな水を流してやるような気持ちが必要ではないのかなと思うんです。ですから私、この話のタイトルに土を守り海を守り百姓が地球を救う、というタイトルにしました。

私のことは映画や本でご存じだとおもいます。でも毎年咲く花、このリンゴの花は私にとってみるとかけがえのない花なんです。そして、家族一丸となってみたこのリンゴの花、私には一生忘れれることができない花です。ですから私の話の表紙はいつもリンゴの花なんです。いまでもなぜこのリンゴの花が咲いてくれるのか、不思議なことに今年も咲いてくれました。

日本の農業、世界の農業は食糧を守るために、食糧を確保するため。日本の人口はどんどん減っていますけれども、世界の各地では(人口が)増えて続けているわけです。そして食事も変化してだんだんだんだん肉食に変わっております。そのため飼育頭数もどんどん増えているわけです。当然ながらうんち、おしっこ、これも桁外れに増えているわけです。そしてまた、肥料や農薬それらに伴う生産資材の使用量もうなぎ上りに増えているのも事実です。しかし農家の懐は、経費が大きくなっていくために、だんだん魅力のない職業になってしまって、今農業人口は大幅に減って260万人を切っているような状況です。かつて1000万人いた時代は夢のような話です。そしてそのほとんどが、おじいさんおばあさんの農業になってしまっています。こんな状態で、果たして日本の食糧を守れるのか?私はそんなことを考えるわけです。『足りないものは買ってくればいい』、簡単なことです。でも今まで日本に輸出していた国が、『うちでもめいいっぱいになってきたので、今度日本に出せませんよ』と言ったらどうしますか?そういう時代がやがて訪れるではないかな、と私にはそう思います。

そして、日本の農家に魅力がない、そんなことから日本各地で捨てられてしまった田畑が40万ちょうヘクタール以上もある。経済大国日本、この名前の裏をみたら恥ずかしい、そう思うんです。そして経費どれくらいかかるか、これは農薬の使用量です。(日本が飛びぬけて高い数値)。中国野菜が怖い、そんな話はかつてテレビでも見ました。本当に怖いんでしょうか?このグラフを見ると日本に世界で一番農薬が使用されている国だと皆さんご存知でしょうか?ある国では『(日本は)もっとも農薬にマヒした国民』と言われていているんです。せめてイタリアやオランダのように減らすことはできないのかな?

かつてオランダは世界一の農薬使用国でした。ところが、オランダのものは農薬の使用量が多く、あなたの農産物は買うわけにはいかない、と各地から出たわけです。それで国あげて取り組んだ結果、このように減らすことができたわけです。これを日本でやれないのかと私思うんです。私は日本人ならできるはずだと。無農薬でも出来たんだから、今減らすことくらいはできるんではないかなと私そう思うんです。

そして毎日食べているお米。除草剤の使用量です。この除草剤確かに、農家から重労働を解放してくれたわけです。ですから除草剤がだめだという気持ちはありません。農家がこの便利な化学製品に、使うことに、慣れてしまって自分の体を動かすことを少し怠っている姿ではないかと私思うんです。世界でこれまでも一番除草剤が使われているお米なんです。今日食べたご飯どんなごはんでしょうか?あとでスライドでお見せします。

そして『肥料がなければお米がとれないよ、木村さんあんたそんなこと言ったって、肥料なければ何も取れない、農薬使わなければ虫で、売るものがないから生活が成り立たんよ。あんたが言っていることは夢物語だよ』ずいぶん言われました。じゃあ、あんたがた施した肥料がどのくらい使われているか知っていますか?誰も答える人がない。実際施した量の1割しか使われていないということなんです、それならゼロでできるのではないかそれが私の考えでした。それから雑草が生えてると、植えた作物から養分を奪い取るから邪魔者なんだよ。だからなくしてあげよう。ところがこの雑草、これまた作物と同じで1割程度より(肥料を)くっていない。いったい今まで言われてきたことは本当なのかな?疑問を持つわけです。そして使われなかった(肥料の残りの)部分残りはいったいどこに行っているのか?これがとんでもない悪さをしているんだと生産者は気づくべきだろう。

そしてここにおられる会場におられるほとんどの方は、買って消費してくださる方がほとんだと思います。このスライド、海外の写真ではありません。日本国内の写真なんです。どんどん化学資材が日本中広がり、すごい恩恵を受け一時的には食糧が増産しました。ところが今、何が起きているか?せっかく種をまいたり植えたりした野菜が、売るころに収穫するころにみんな腐ってしまう。そういう畑がどんどん増えているわけです。このスライドは玉ねぎですけれども、化学資材を多く投入してきたために、土が土で無くなって、悪い病気がどんどん出てきて、そのために土を消毒している写真なんです。土、土一握りに地球の人口のすべてを合わせてもそれ以上にいると言われている土、バクテリアや様々な生き物たちが生きているわけです。この土を顧みない今の農業、果たしてこれから何年日本の食を守れるのかな?クエスチョンマークが。

そしてみなさんがJAS有機栽培を知っているひとが多いと思います。私が各地に推奨して歩いているのはJAS有機栽培ではありません。そして自然栽培という言葉で日本はじめ海外に歩いております。そしてようやくAKメソッドという言葉で世界に紹介されてきました。今、考えられないことかもしれないけれども、自然の生態を守りながら生産をしていく、そしてそれが先ほどの畠山さんのような海の仕事をする人たちにもプラスに働く、それが本当の農業ではないかなと私思うんです。

そして私の栽培は肥料・農薬は使いません。かといって、ここに書いていますけれど、放任ではないんです。とかく手をかけるのは自然じゃない、手をかけないのが自然だとかと言葉や話を聞きますけれども、私は『もしも私が野菜だったら、もしも私がリンゴだったら』という気持ちに置き換えると、この会場におられるみなさんも、小さいときにお父さんお母さんの愛情いっぱいもらって育ってきたんではないかと。そして5-6歳もなってくると、お父さんお母さんの心配をよそに友達と遊びにあるいたりしていたんではないかと思うんです。野菜も同じだと私思うんです。小さいときは雑草にやられます。だから雑草の対策をしなければなりません。でもある程度大きくなると雑草と一緒に育っていく。私はこれが大事なことではないかとそう思うんです。

では窒素リン酸カリとかどこから補給するのか?あとでもスライドでお見せしますけれども、私はマメ科の植物を利用しています。豆は大気中の窒素を蓄える働きのある根粒菌を根につけるわけです。その根粒が取り持つ窒素を利用しているわけです。ですから、人為的に作られた窒素ほどこす必要がないんです。これは私が発見したことではなくて、はるか江戸時代それ以前から日本の農家の人たち利用してきた技術なんです。そういうのをいっぱいあると思うんです。そうすると少しでも今の農家生産者がつかっている農薬、肥料を少しでも減らすことができるではないかなとそう考えて自分の畑、全国の歩く(講演をして歩く)の半分に今動いている状況です。

そして、人間の目は土の中をみることができません。ですから穴を掘ってみるわけです。全国海外畑や田んぼ穴掘って温度を調べてきました。そしてわかったこと人間の体も冷えると病気に起こしやすいことばがありますけれども、今の畑のほとんどは土の温度が冷え症なんです。冷え症ということは作物には冷たいから根が育っていかないんです。
これはトウモロコシの写真ですけれども、耕盤層とかいてあるこの冷たいところを根は避けてとおる、横に伸びるから根が浅い、干ばつが起きるとすぐに負けるわけです。私の栽培をやってみたいという人には、かならず土の温度を測ってくださいといっているわけです。冷たいところを壊さない限り30年やっても50年やっても失敗するわけです。1年、2年で簡単に壊れるこの層を壊してから私のような農法を始めてくださいそう話するんです。

そしてこれ、去年の収穫前のリンゴの姿です。100年以上もリンゴは農薬なしではリンゴはできない、世界中言われていたわけです。そのリンゴがたわわに実るようになったわけです。そして不思議なことに虫がいないんです。かつて1メートルのリンゴの枝に100匹以上もいた虫たちが今その姿をみることができないんです。なぜだと思いますか?答えは簡単です。肥料使わない、農薬使わないから虫がいないんです。ですから肥料施して無農薬100%などあり得ません。そしてそれじゃ私は何をしているかというと、木が育ちやすいようにお手伝いさんをやっているだけなんです。かつてピンポン玉のような大きさがやっとのリンゴの実が、本当に無肥料なのかと言われるくらい大きくなったリンゴを見て、リンゴも不可能ではないと、そう私は思った次第です。

杉山先生の調査の結果ですけれども、私の畑、肥料ほどこさずに30年以上たっているわけですけれども、肥料を施した畑より窒素量が多い、これはどういうことなんだろう?何も施さなければ、バクテリア達の活動が活発になってきたんじゃないかと思うんです。私よく、各地の会場でいうんですけれども、もしも皆さん宝くじ3億円あたったら、月曜日会社に行きますか?行かないでしょ?何か仮病つかって、いや体調がわるいので休ませてください、こういうに違いないでしょう。私ならそう言います。(会場爆笑)。ちょうど栄養分ほどこすので、土のなかの小さな生き物たちがお休みしてるんじゃないかなと私おもうんです。何も(肥料を)やらないから、これはこうしておれないと土の中の生き物が頑張った結果じゃないかなと思うんです。

そして、『できないよ、できないよ』、なんもできなくないんです。この栽培は簡単で、土を生かす、作物を生かす、根を生かす、この3つさえやればいい。けして難しいことない。そして今、日本各地に私に賛同する人たちがこのスライドのように増えてきました。私はひとりびとりであったわけです。今はグループで実施する人が多くなりました。ですから、新しい日本の農業時代が始まってくれることを期待しております。そして各地で開催している自然栽培塾、最初は私の話など聞いても一人か二人でした。それが今、大勢の人がこの栽培に関心をもって、多くの消費者の人たちがこういう食材を欲しいいう風になってきたわけです。

そして特に、この会場に見えていますけれども、愛媛県松山市障がい者支援施設、この取り組みが今、障がい者施設で大きな話題になっているわけです。それは、障がい者というのは社会の弱者です。ひと月にもらうお金1か月働いて1万5-6千円程度です。お父さんお母さん、子供を残して死ねない。それが悩みの種なわけです。そんななかで、このメイド・イン・青空、障がい者のために自然栽培を通してそこで取れる作物を販売し、5-7万円の給料を払うようになってきたわけです。自然栽培もこういう形で生かされていく、私はすごいうれしいなこう思っております。いま、私の住む青森県でも、この愛媛県のさいきさん達のこの取り組み、もう実際に始まってきたわけです。これが日本中に広がったら、障がい者の人たちにも新しい光が渡っていくんではないかな、とそう思っております。

そして何もなにも施さない、岡山県では農協中心となってこの栽培に取り組むようになりました。これまで(田んぼで)除草剤つかってきたのはどうするのか?このようにしてチェーンを使って除草するんです。そして野菜はこのようにすると誰でもできるんだよ、とですね。細い糸みたいな人参、集荷期が来てもこの太さより(以前は)育たなかったわけです。土が土でなくなった時の姿なんです。それが肥料や除草剤や農薬をやめて3年過ぎたら、元の人参が育ってきた。じゃあ今までの農業、もう少し見直すべきではないかと思うんです。そして、自然栽培のトマト、一つもくるいなく左右対称に育つわけです。で、このトマトを横に植えているの見たら、あぁこれなら私でもベランダでもできるなと思ってくれるんではないかと思うんです。そして皆さんは、緑色の濃い野菜は元気があるだと思っているでしょ?まったく違うんです。元気のある野菜は逆に濃い色にはならない。間違わないでください。そして、(もう時間もなくなってきたので。)

これは私のリンゴの葉っぱです。穴が開いています。誰もが虫が食べた穴だと言いました。でも違うんです。自分が葉っぱについた病気を葉っぱ自身が治療している姿なんです。農薬を使わないから、葉が自分の病気を患部を枯らして、落としていた姿なんです。
そして、この虫(5ミリくらいの青い虫)を見たときに、小学校の教科書を変えた方がいいのではないかと思いました。なぜか?テントウムシ何匹アブラムシたべるでしょう?あんがい食べない。それなのに、アブラムシを食べる良い虫と小学校の教科書に載っているんです。この虫、アブの仲間の幼虫です。そこにアブラムシがいる限り食べつくすという私にとって大きな助っ人です。自然界にはこういう風に、知らない、今まで知られていないことが山ほどあるんではないかと思っております。

じゃがいも、じゃがいもを植え方。切り口を上にするか下にするかでじゃがいもの生育が違うんです。なぜこんなこと日本は400年も500年も守っている。私変人なので切り口を上にしたわけです。そしたらじゃがいもが横か下につくわけです。そうすると土寄せが必要なくなります。日本で教えても誰もいうこと聞かない。これをドイツに教えました。ドイツでは面積が大きいので1か月も土寄せ作業をするんです、それがほとんど(必要)無くなった。この農法は素晴らしいですと賛辞をいただきました。

そして皆さんは堆肥が有機農法が安心だと思っている方が多いです。硝酸態窒素という言葉を知ってください。この硝酸態窒素、すごい悪いことをするわけです。堆肥を完熟した堆肥を生産者に使ってくださいと皆さんに言うわけです。


このスライドを見てください。一般栽培、JAS有機栽培、自然栽培のお米。(自然栽培以外、お水につけておくとカビなどが生えて腐ってしまう。自然栽培はカビなど生えてこない)。このスライドをみて今日食べたご飯、どれにはいるか考えてみてください。できるなら何も変わらないお米、食べてもらえたらなと思います。そして各地の養鶏・畜産農家の人たちが完熟した堆肥を作っていこうという気運が各地で高まってきたのも事実です。

そしてこのグラフは弘前大学医学部の協力をもって調査しました。昭和30年と比べて実に3倍以上にガンが原因の死亡が増えている事実。いろいろな原因があるでしょうが、毎日食べている食事も原因の大きなウェイトを占めるんじゃないかなと思います。食べればいい、ただそれだけではないのが人間の健康ではないかとそう思うんです。中洞さんの牛乳しかり、自然が育てた自然の牛乳そういうものを当たり前にお店で買える時代にみなさんと一緒にしていきたい、それが日本の本当の食事ではないかと私そう思っているんです。

そしてまた、添加物も世界で一番(とっています)。ミツバチがいなくなると食は変わるよ、大きな変化が起きるよ、人間に変化が起きるよとアインシュタインは有名な言葉を残しました。その残した言葉に早く気づいて、次の世代にもっと環境にやさしい農業、食の生産、一歩前でた気持ちでみんなと一緒に取り組んでいけたらと、そんな気持ちです。そして(今公開中の映画の宣伝スライド、会場から笑いが起きる)、もしも行かれた方がいらっしゃいましたら私の半生がどんなものであったかわかってもらえたらな、でも3割はドラマです。(会場爆笑)

長い時間でありましたけれども、ありがとうございました。

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